飲み放題コースの原価、もう限界かもしれません。上半期の飲食業倒産が過去最多に
こんにちは!開業支援集団東京Ringです。夏の暑さも一段落し、そろそろ忘年会シーズンに向けた仕込みを考え始める時期かもしれません。今回は、飲食業の経営環境が厳しさを増しているという最新のニュースをお届けします。
飲食業の倒産、上半期は過去最多に
読売新聞の報道によると、東京商工リサーチ(TSR)の調査で、飲食業の倒産件数が過去最多を更新したことが分かりました。
出典:読売新聞オンライン「〈飲み放題〉のビジネスモデルに限界も…人件費・原材料費の高騰に節約志向が追い打ち、飲食業の倒産件数が過去最多」(2026年8月15日)
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20260814-GYO1T00181/
- 上半期(1〜6月)の飲食業倒産件数:509件(1997年の調査開始以来最多)
- うち「居酒屋(酒場、ビアホール)」:118件(上半期として初めて100件超)
- 原因別では9割が「販売不振」
- 従業員10人未満の倒産が97.4%を占め、規模が小さい店ほど苦しさが際立つ
- 決済代行会社「全東京」の破産により、日本飲食団体連合会のアンケート(172事業者回答)で約7割が資金繰り悪化と回答、平均被害額は1店舗あたり58万円
なぜ「居酒屋」に逆風が集中しているのか
TSRは「節約志向もあり、店内の滞在時間が長く、回転率が悪い居酒屋は逆風が強まる」と分析しています。記事で紹介されている大阪の居酒屋では、開店時(2023年)と比べてビールが1割上昇するなど仕入れ価格の上昇が続いており、3500円台の飲み放題コースをドリンクバー方式にするなど効率化を図っているものの、店主自身が「今はこのビジネスモデルが難しい」と明かしています。
これまで飲み放題は「お酒を多く飲んでもらうことで原価率を吸収する」仕組みでしたが、原材料費の高騰でその前提が崩れつつあります。加えて、大手チェーンの値上げが相次ぐ中、客離れを恐れて価格転嫁に踏み切れない店も多く、原価と価格のギャップがそのまま利益を圧迫する構図です。
自店の「飲み放題原価」を数字で確認する
たとえば、飲み放題コースの原価率を30%で設計していた店舗で、酒類の仕入れ価格が記事にあるように1割上昇したとします。原価3割・客単価3500円のコースなら、もともとの原価は1人あたり1,050円ですが、仕入れ1割上昇でこれが1,155円になり、1人あたり105円の原価増です。
1日50人が飲み放題コースを利用する店舗であれば、
105円 × 50人 × 月25日 = 131,250円
と、月あたり約13万円、年間では150万円を超える利益の目減りになる計算です。この金額を、コース価格の改定で吸収するのか、ドリンクバー化などの提供方式の見直しで吸収するのか、方向性を決めておく必要があります。
あわせて、決済代行会社の破産という今回のニュースを踏まえ、次の点も確認しておきたいところです。
- 自店が飲み放題コースをどの原価率で設計しているか、直近の仕入れ価格変動を反映できているか
- 忘年会シーズン(価格改定を打ち出しやすいタイミング)に向けて、値上げの告知方法・タイミングを検討しているか
- 自店が利用している決済代行会社はどこか、入金サイクルや万一の破産時の補償の有無を把握しているか
- 決済手段を1社に集中させず、複数の決済代行会社やキャッシュレス手段を分散できているか
⚠ 注意点
回転率の低さが逆風要因として指摘されている以上、単純な値上げだけでなく、滞在時間やオペレーションの見直しも合わせて検討する必要があります。値上げのみで客離れを招くと、記事にある「販売不振」型倒産のリスクをかえって高めてしまう可能性もあるため、価格改定は原価データと客数動向をセットで見ながら判断することが重要です。
📝 まとめ
飲食業の倒産は上半期で過去最多となり、特に居酒屋業態への逆風が強まっています。原材料費の高騰で「飲み放題」の原価前提が崩れつつある今、まずは自店の飲み放題コースの原価率を仕入れ価格の変動に合わせて再計算してみてください。あわせて、決済代行会社の破産という今回のニュースを機に、自店の決済まわりのリスクも一度点検してみることをおすすめします。





