こんにちは!
開業支援集団東京Ringです。
今週は、日本の外食チェーンによる海外展開のニュースが立て続けに発表されました。
海外進出は自店には縁遠い話に思えるかもしれませんが、実は「新しいエリアに出店する」という判断軸として参考になる部分が多いので、今回取り上げます。
丸亀製麺、韓国で1年弱で4店舗。過去の失敗からの転換
出典:フードリンク「丸亀製麺、再上陸成功で韓国4号店 直営から、ロッテとの協業へ」(2026年8月21日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/08/2164732.html
- トリドールの丸亀製麺は、2012年に韓国へ初進出(直営)し一時12店舗まで拡大したが、コロナ禍の2021年撤退時には3店舗まで減少していた
- 2025年9月、ロッテグループの「Lotte Global Restaurant Service」との協業で韓国に再上陸(直営ではなくFC型の協業)
- 2026年4月に釜山、6月に空港店、8月に南楊州と出店が続き、再上陸から1年足らずで4店舗体制に
- 2026年中に8号店、2030年までに35店舗を計画
王将はオーストラリアに独資子会社、コメダはタイに直営1号店
出典:フードリンク「餃子の王将、シドニーに独資で子会社設立」/流通ニュース(2026年6月)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/08/1863844.html
- 王将フードサービスは2026年8月、オーストラリア・シドニーに100%出資の現地法人「Ohsho Food Service Australia」を設立(資本金約1億円)
- 現在海外は台湾2店舗のみで、豪州は独資での新規挑戦。具体的な出店時期は未定
出典:フードリンク「コメダ、直営でタイ1号店 モーニングサービスも提案」(2026年8月20日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/08/2061907.html
- コメダHDは2026年8月、タイ現地法人を通じてバンコクに直営1号店を年内出店予定と発表
- 海外はすでに台湾・上海・香港・インドネシア・シンガポールで81店舗を展開しており、直営運営の実績とノウハウの蓄積がある
- モーニングサービスなど日本と同じメニューに加え、現地向けオリジナルメニューも開発
WDIは北米の「添好運」事業から撤退
出典:フードリンク「WDI、海外の『添好運』直営から撤退」(2026年8月19日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/08/1960953.html
- WDIは北米(ニューヨーク、ラスベガス、ワイキキなど5拠点)で運営していた点心専門店「添好運」の事業展開権を、現地企業へ譲渡(譲渡額約2億4700万円)
- 「海外事業再建に向けた選択と集中」の一環と説明。なお日本国内の添好運事業(4店舗)は継続する
明暗を分けたのは「直営か協業か」より「土地勘の有無」
4社を並べると、単純に「直営は失敗、現地パートナーとの協業は成功」とは言い切れません。コメダは直営でも、すでに5カ国・81店舗という運営実績の蓄積があるうえでの出店です。王将も独資ですが、まだ結果が出るのはこれからです。
むしろ注目すべきは、丸亀製麺自身の変化です。同じ韓国という市場で、2012年の直営進出では最大12店舗からコロナ禍で3店舗まで縮小したのに対し、2025年の再進出では現地の外食市場でトップシェアを持つロッテGRSと組んだことで、1年足らずで4店舗、2030年までに35店舗という計画にまで加速しています。同じ会社・同じ国であっても、「自社だけで手探りするか」「その土地に精通したパートナーと組むか」で、拡大スピードが大きく変わることを示す事例だと言えます。
自店の多店舗展開・新エリア出店に置き換えると
海外進出はハードルが高い話に見えますが、「不慣れな土地に出店する」という構造は、都内で2号店を別エリアに出す場合にも当てはまります。
たとえば、自社だけで新エリアの物件探しから商圏調査まで行う場合、担当者(月給30万円換算)が3ヶ月がかりで動くとすると、人件費だけで90万円かかる計算です。
加えて、土地勘がないまま出店した場合、開業後に立地のミスマッチが判明して閉店に至れば、内装費や保証金など数百万円単位の損失に発展するリスクもあります。
一方、その地域に精通した不動産会社や、地元の商工会・開業支援団体などと連携できれば、物件探索期間を1ヶ月程度に短縮でき、人件費を60万円ほど圧縮できるだけでなく、開業後の集客の立ち上がりも早まりやすくなります。
新エリアへの出店を検討する際に確認しておきたいのは、次の点です。
- 出店予定エリアについて、自社だけで商圏調査・物件選定を行う体制になっていないか
- その土地に精通した不動産業者、コンサル、地元ネットワークとの接点を持てているか
- 過去に自社(または自分自身)が別エリアで出店に失敗した経験がある場合、その原因が「土地勘の不足」にあったかどうかを振り返れているか
⚠ 注意点
現地パートナーとの協業は、拡大スピードを高める一方で、ブランドイメージや品質管理を相手に委ねる部分が増えるというトレードオフもあります。丸亀製麺もロッテGRSのスタッフに対し日本での研修や現地への技術指導を行うなど、品質維持のための仕組みを別途整えています。パートナーに任せきりにするのではなく、品質管理の仕組みとセットで検討することが重要です。
📝 まとめ
今回の4社の動きから見えるのは、「直営か協業か」という二択そのものより、「その土地に精通したパートナーや情報をどれだけ持っているか」が拡大スピードを左右するという点です。新エリアへの出店を考えている場合は、自社だけで手探りするのではなく、その土地に詳しい存在と組む選択肢がないか、一度検討してみることをおすすめします。





