こんにちは!開業支援集団東京Ringです。
値上げが当たり前になった外食業界ですが、ここにきて少し潮目が変わりつつあります。
今回は、値付けをめぐる各社の判断から、今の空気を読み解いていきます。
深夜料金という新しい選択肢
出典:フードリンク「ココイチ、深夜料金7%導入 採用広がるが、吉野家は未だ」(2026年8月31日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/08/3161647.html
- カレーハウスCoCo壱番屋が9月1日から、22時〜翌5時の注文に7%の深夜料金を加算
- 一部トッピング価格も値上げ
- ファミレス・ファーストフード業界で深夜料金導入の動きが広がる一方、吉野家は未導入で、夕方利用の割引施策を展開している
一律値上げではなく、「深夜という特定の時間帯だけ価格を変える」という値付けの選択肢が広がってきていることが分かります。
唐揚げ店は「ブームから定着」へ
出典:フードリンク「『唐揚げ店』倒産9割減 100店舗以上の定着チェーンも3ブランド」(2026年9月3日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/09/0362303.html
- 唐揚げ専門店の倒産件数は2026年1〜8月で2件、前年同期の15件から9割減
- 過当競争の緩和と原材料高騰による淘汰が進み、「ブームから定着」へ移行
- ただし店舗数を大きく減らしたチェーンもあり、家賃の低い立地が生存条件になっている
倒産減少は業界にとって明るいニュースですが、その裏では「家賃が高い立地では生き残れない」という選別が進んでいる点に注意が必要です。
値上げ失敗から学ぶ、客数回復戦略
出典:フードリンク「『町田商店』ギフト【26年8月】客数増への好転換続く 値上げ失策の痛い経験生きる」(2026年9月4日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/09/0462741.html
- ギフトホールディングス運営の「町田商店」は2026年8月度実績で客数増加への好転換が継続
- 過去の値上げ失策の経験を踏まえ、客単価上昇を1%以内に抑えつつ、客数回復を優先する戦略に転換
かつて値上げで客離れを経験した町田商店が、あえて客単価の上昇幅を絞ってでも客数を取りにいく方針へ切り替えた点が今回のポイントです。
「上げる」から「戻す」へ、値付けの優先順位が変わってきている
3つの事例を並べると、共通しているのは「一律値上げ」ではなく「メリハリのある値付け」への転換です。
深夜料金は、コストが増える時間帯だけをピンポイントで値上げする方法です。
町田商店の事例は、過去の値上げで失った客数を取り戻すために、あえて値上げ幅を抑える判断です。
唐揚げ業態の淘汰も、コスト構造(特に家賃)に見合わない値付け・立地の店が退場している結果と読み取れます。
つまり、値上げそのものをやめるのではなく、「どこで、いくら、誰に対して値上げするか」を細かく設計する段階に業界全体が移ってきていると言えます。
自店の値付けに置き換えて確認すべきこと
町田商店の事例を参考に、簡単な試算をしてみます。
仮に、月1,000組・客単価3,000円(月商300万円)の店舗が、過去に10%の値上げ(客単価3,300円)を行い、客離れで客数が15%減(850組)したとします。
この場合の月商は280万5,000円で、値上げ前より減収です。
ここで町田商店のように、値上げ幅を1%(客単価3,030円)まで抑え直し、客数が950組まで回復したとすると、月商は287万8,500円になります。
値上げ幅を欲張るよりも、客数の回復を優先した方が、結果的に売上が高くなるケースがあることが分かります。
あわせて、深夜営業や特定の時間帯を持つ店舗であれば、その時間帯だけ加算料金を設定する方法も検討の余地があります。
深夜帯はアルバイトの深夜割増賃金(通常時給の25%増)が発生するため、深夜料金7%程度でもこのコスト増の一部を吸収できる可能性があります。
確認しておきたいのは、次の点です。
- 過去に行った値上げで、客単価は上がったが客数が減り、結果的に売上が落ちていないか
- 一律値上げではなく、コストが増える時間帯・曜日だけに絞った加算ができないか
- 自店の家賃が売上に対して高すぎないか(唐揚げ業態の事例のように、家賃の重さが生存条件を左右する)
⚠ 注意点
値上げ幅を抑えて客数回復を狙う戦略は、原価上昇分を十分にカバーできない可能性もあります。
町田商店のように、客単価上昇を抑える代わりに、原価管理やオペレーション効率化など他の面でコストを吸収する仕組みとセットで検討する必要があります。
📝 まとめ
外食業界の値付けは、「とにかく値上げする」フェーズから、「客数を落とさない値上げ」を模索するフェーズに移りつつあります。
自店でも、過去の値上げが客数にどう影響したかを振り返り、一律値上げではなくメリハリのある値付けができないか、この機会に見直してみることをおすすめします。





