🌱 値上げの秋なのに、”驚異のコスパ”企画が止まらない
こんにちは!開業支援集団東京Ringです。
2026年10月、外食業界では値上げのニュースが相次ぐ一方で、驚くほど挑戦的な食べ放題・飲み放題企画が次々と発表されています。
スターバックスは年内2度目の値上げに踏み切る一方、居酒屋や焼肉店では「1杯70円」「1,000円で11時間飲み放題」といった攻めの価格施策が広がっています。
一見矛盾するこの動き、実は外食企業が置かれた立場の違いを映し出しているようです。
今回はその中身と、そこから見えてくる価格戦略のヒントを整理します。
スターバックス、年内2度目の値上げ ― “じわじわ型”の価格改定
スターバックス コーヒー ジャパンは10月9日より、定番ビバレッジを4〜35円、フードの一部を10〜30円値上げします。
- 2026年2月に続く、年内2度目の値上げ
- 年初来累計では約10%の上昇に
- 一度に大きく上げず小幅な値上げを分散させることで、客離れを防ぐ狙いとみられる
出典:フードリンク「スタバ、今年2度目の値上げを10月に じわじわ作戦」(2026年9月24日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/09/2460315.html
その裏で加速する”驚異のコスパ”食べ放題・飲み放題
値上げの動きとは対照的に、話題性の高い低価格企画も相次いでいます。
- 西葛西「ホルモン焼肉しまちゃん」:食べ放題全3コースでハイボール・サワーが何杯でも1杯70円(税込77円)。さらに希少部位「和牛コウネ」を価格そのままで追加
- 「日本酒原価酒蔵」:10月限定で1,000円(税込1,100円)から最大11時間の時間無制限飲み放題(日本酒・生ビール・サワーなど30種)を実施
- 「ステーキのあさくま」:肉の日にサーロイン・テンダーロイン・ランプ3種すべてを料金据え置きで50%増量
- 「イタリアン食べ放題チーズミートガーデン」:プレミアム食べ放題コースに追加1,100円でチーズ食べ放題を提供
出典:PR TIMESグルメ「ハイボールもサワーも何杯飲んでも1杯70円(税込77円)!西葛西「ホルモン焼肉しまちゃん」、食べ放題全3コースで新サービス」(2026年9月27日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000188900.html
出典:PR TIMESグルメ「【最大11時間!好きなだけ飲める】1,000円(税込1,100円)〜で日本酒・生ビール・サワーなど30種の「時間無制限飲み放題」を10月限定で開催|日本酒原価酒蔵 全店」(2026年9月27日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000558.000055180.html
出典:PR TIMESグルメ「【ステーキのあさくま】肉の日 お客様感謝デー開催!サーロイン・テンダーロイン・ランプ、3種類すべて50%増量!」(2026年9月22日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000289.000030130.html
出典:PR TIMESグルメ「【梅田、チーズ食べ放題が1100円!?】肉を食べに来たはずなのにチーズまで好きなだけ」(2026年9月23日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000172054.html
なぜ両極端な戦略が同時に成立するのか
ブランド力と客単価で勝負する大手チェーンと、圧倒的コスパ・エンタメ性で話題化と固定客化を狙う個店・中堅チェーンとでは、そもそも戦っている土俵が違います。
前者は既存顧客基盤の維持を前提に、離脱されない範囲で小刻みに値上げを重ねる戦略。
後者は「◯円で△△し放題」という分かりやすいインパクトでSNS拡散と新規集客を狙う戦略です。
原材料費・人件費の上昇という同じ環境の中で、目的が「既存客の維持」か「新規客の獲得」かによって、真逆に見える打ち手が選ばれているといえます。
あなたのお店なら、”ロスリーダー価格”は成立するか?数字で確認する
「1杯70円」のような目玉価格は、単体では確実に赤字です。
成立させるには、その価格で来てもらった分をどこかで回収する設計が欠かせません。
ここでは、ドリンクを目玉価格にした場合の回収シミュレーションを示します。
- 現状の客単価が5,000円(ドリンク3,000円+フード2,000円)の店を想定
- ドリンクを1杯70円均一に変更した場合、1人3杯として:70円 × 3杯 = 210円
- 客単価5,000円を維持するには、フード注文を:5,000円 − 210円 = 4,790円まで引き上げる必要がある
4,790円 ÷ 2,000円 ≒ 従来の約2.4倍のフード注文が必要
つまり「ドリンク70円」という打ち手が成立するのは、フード注文を大幅に押し上げる仕組み(希少部位の無料追加、名物メニューの強化、注文点数を増やす提供スタイルなど)とセットになっている場合に限られます。
目玉価格だけを真似ても、フード側の設計がなければ単なる値下げで終わってしまいます。
⚠ 注意点
“じわじわ値上げ”戦略は、ブランド力と客数のボリュームがあって初めて機能します。
中小店舗が同じペースで小刻みな値上げを続けると、値上げ疲れによる客離れを招くリスクの方が大きくなりがちです。
逆に低価格企画は、フード側の粗利設計を誤ると集客できても利益が残らない結果になりかねません。自店がどちらの土俵で戦っているのかを見極めた上で、価格戦略を選ぶことが重要です。
📝 まとめ
値上げと食べ放題強化は、一見矛盾しているようで、実はどちらも「客数と客単価のどちらを軸に据えるか」という同じ問いへの異なる答えです。
あなたのお店では、値上げによる客単価アップと、集客企画によるフード注文喚起、どちらの設計により力を入れるべきでしょうか。一度、数字で試算してみてはいかがでしょうか。





