「客単価8千円→5千円」焼肉業界に広がる”町焼肉”回帰の波

2026年9月26日

🌱 値上げ疲れの秋、焼肉業界に見え始めた”逆方向”の動き

こんにちは!開業支援集団東京Ringです。
9月も後半に入り、夏の値上げラッシュが一段落したと思いきや、焼肉業界では興味深い”逆方向”の動きが目立ち始めています。
コロナ後のインバウンド需要や高付加価値路線で客単価を引き上げてきたこの業界で、ここへきて相次いでいるのが「町焼肉」への回帰です。
この一週間だけでも、複数の焼肉チェーンが気軽に通える大衆価格帯へと舵を切りました。
値上げ疲れが叫ばれる中、飲食店はどこに次の一手を見出そうとしているのでしょうか。

客単価を8千円から5千円へ。「八王子焼肉 タマちゃん」の価格転換

エー・ピーホールディングスは、東京・八王子の焼肉店を「八王子焼肉 タマちゃん」としてリニューアルオープンしました。

  • 特製玉ねぎダレという”伝統”を受け継ぎつつ、厳選ホルモンや正肉の刺しメニュー、「ガリバタホイップ」など創意的なメニューで差別化
  • 客単価を従来の8,000円程度から5,000円程度へ大幅に引き下げ
  • より気軽に通える”町焼肉”としての再出発

出典:フードリンク「エー・ピー、「八王子焼肉 タマちゃん」出店」(2026年9月16日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/09/1661859.html

出典:食べログマガジン「肉刺しメニューが充実!特製玉ねぎダレの”八王子焼肉”を受け継いだ”町焼肉”が誕生」(2026年9月19日)
https://magazine.tabelog.com/articles/505790

焼肉「ふたご」も原点回帰。社長就任1年の転換点

同じタイミングで、焼肉チェーン「ふたご」も動きを見せています。
森川氏の社長就任からちょうど1年を経て、原点である”町焼肉”路線への回帰を進めていると報じられました。
高価格帯・付加価値路線が一巡した焼肉業界で、複数のプレイヤーがほぼ同時期に同じ方向へ動いている点は見逃せません。

出典:フードリンク「焼肉「ふたご」、町焼肉に回帰 森川氏の社長就任1年」(2026年9月18日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/09/1864752.html

なぜ今、”町焼肉”なのか

背景にあるのは、物価高・値上げ疲れによる客離れへの危機感です。
インバウンドや富裕層需要を取り込む高付加価値路線と、節約志向を強める国内客層という”二極化”のはざまで、価格帯そのものを見直す動きが焼肉業界にも波及していると考えられます。

同様の動きはラーメン業態でも見られます。
ガーデンは「油そば総本店」と他ラーメンブランドを組み合わせた”二刀流ハイブリッド”戦略を展開し、890円からの低価格メニューで節約志向の顧客を取り込んでいます。
焼肉に限らず、外食業界全体で”大衆価格帯”への揺り戻しが起きている可能性があります。

出典:フードリンク「ガーデン、油そばとの二刀流を他ブランドに波及」(2026年9月16日)
https://www.foodrink.co.jp/news/2026/09/1662738.html

あなたのお店なら、客単価を下げて成り立つか?数字で確認する

客単価を下げる決断は、感覚ではなく数字で成立するかどうかを確認する必要があります。仮に、1日20組・客単価8,000円で営業している焼肉店で試算してみましょう。

  • 現状の日商:8,000円 × 20組 = 160,000円/日 → 月商480万円(30日換算)
  • 客単価を5,000円に下げた場合、同じ月商480万円を維持するには:480万円 ÷ 5,000円 = 960組/月 = 32組/日
  • つまり、来客数を1日20組から32組へ、+12組(+60%)増やす必要がある

160,000円 ÷ 5,000円 = 32組(現状比+60%の集客が必要)

客単価を下げても原価となる肉のグラム数を変えなければ、原価率はむしろ上昇しやすくなります。
値下げが成功するかどうかは、「値下げ分を補う集客力があるか」「原価率の上昇を吸収できる購買・仕込みの工夫があるか」の2点にかかっています。

⚠ 注意点

客単価を下げる施策は、回転率の高い立地・客層でなければ簡単に赤字転落につながります。
特に焼肉業態は原価率がもともと高いため、値下げ幅と必要な集客増加率を試算せずに実施するのはリスクが大きいといえます。
また、既存の高単価顧客層が離反する可能性も踏まえ、客層の入れ替わりを前提とした収益設計が必要です。

📝 まとめ

“町焼肉”回帰は、値上げ疲れの反動として一時的な揺り戻しなのか、それとも構造的な価格帯の再編なのか、まだ見極めが必要な段階です。
ただ、価格を動かす前に「必要な集客増加率」を具体的な数字で把握しておくことは、どんな業態にも共通して欠かせません。
あなたのお店では、客単価を1,000円動かしたとき、何組の集客増加が必要になるか、一度計算してみてはいかがでしょうか。